ここまでの学習は全部原価計算。
全部原価計算
├個別原価計算
├総合原価計算
└標準原価計算
それに対するのが、直接原価計算。(部分原価計算)
変動費と固定費に分ける。
変動費のみで変動製造原価を計算する。
固定製造原価は全て発生期間の費用とする。(固定は売れなくても原価となる)
損益計算書での違い
全部原価計算では、
売上高
△売上原価
=売上総利益
△販売費及び一般管理費
=営業利益
となるが、直接原価計算での損益計算書では下記となる。
売上から先ず変動費を全て引いて限界利益をだし、そこから固定費を全て引いて営業利益となる。
売上高
△変動売上原価
=変動製造マージン
△変動販売費
=貢献利益(限界利益)
△固定製造原価
△固定販売費及び一般管理費
=営業利益
勘定連絡での違い
変動製造原価は仕掛品勘定へ振替えるが、固定製造原価はそのまま損益勘定へ振替える
固定製造原価は期間原価になると考える。
損益計算書作成
例)
・売上高 150000(500*300)
・製造原価:直接材料費:変動費 24000(60*400)
・製造原価:直接労務費:変動費 16000(40*400)
・製造原価:製造間接費:変動費 20000(50*400)
・製造原価:製造間接費:固定費 36000(総額)
・販売費:変動費 7500(25*300)
・販売費:固定費 15000(総額)
・一般管理費:固定費 9000(総額)
実績データ
・仕掛品:期首 0
・仕掛品:投入 400
・仕掛品:期末 0
・仕掛品:完成 400
・製品:期首 0
・製品:投入 (仕掛品完成イコール)
・製品:期末 100
・製品:販売 300
全部原価計算
損益計算書
・売上高 150000
・売上原価 72000
・売上総利益 78000
・販売費及び一般管理費 31500
・営業利益 46500
直接原価計算
損益計算書
・売上高 150000
・変動売上原価 45000
・変動製造マージン 105000
・変動販売費 7500
・貢献利益 97500
<固定費>
・固定製造原価 36000
・固定販売費
及び一般管理費 24000 60000
・営業利益 37500
固定費調整
直接原価計算では固定製造原価は全額期間費用となる。
全部原価計算では当期に販売された分だけ費用となる。
期末に仕掛品や製品の仕掛品(全部売れなかった)がある場合、
直接原価計算は原価が多くなり利益が少なくなる。
期首に仕掛品がある場合、
直接原価計算は原価が少なくなり利益が多くなる。
営業利益を直接原価計算、全部原価計算で一致させることを固定費調整といい、
全部の利益 = 直接の利益+期末の仕掛固定-期首の仕掛固定
損益計算書
・売上高 150000
・変動売上原価 45000
・変動製造マージン 105000
・変動販売費 7500
・貢献利益 97500
<固定費>
・固定製造原価 36000
・固定販売費
及び一般管理費 24000 60000
・営業利益 37500
<固定費調整>
+期末製品に含まれる固定製造原価 9000
-期首製品に含まれる固定製造原価 0
・全部原価計算方式の営業利益 46500
短期利益計画・CVP分析
次年度の利益の計画のこと。
この計算のためには直接原価計算が必要で、そもそも
直接原価計算は利益計画に有効な方法。
売上ー変動費=貢献利益
売上=変動費+貢献利益
変動費率+貢献利益率=1
つまり変動費率が分かれば売上に対して貢献利益が分かる。
CVP分析
・損益分岐点売上高
・目標営業利益達成する売上高
・目標営業利益率を達成する売上高
・安全余裕率(予想売上高 ー 損益分岐売上高 ÷ 予想売上高)
などが求められる。
損益分岐点とは、営業利益がゼロの点。(利益の合計が固定費と同じになるだけの売上)
例)
次年度 予想売上高 150000 (500*300)
次年度 予想原価
変動費
・直接材料費 30000 (100*300)
・直接労務費 24000 (80*300)
・製造間接費 27000 (90*300)
・販売費 9000 (30*300)
固定費
・製造間接費 26000
・販売費 14000
1.損益分岐点売上高・販売数量。
2.目標営業利益100000に必要な売上高、販売量。
3.目標営業利益率15%に必要な売上高、販売量。
4.安全余裕率
以上を求める。
先ず、簡易のPLを出す。
売上高 150000 : S
△変動費 90000 : 0.6 * S
貢献利益 60000 : 0.4 * S
△固定費 40000
営業利益 0.4Sー40000
1)
損益分岐点は
0.4Sー40000=0
0.4S=+40000
S=40000÷0.4
S=100000
損益分岐点売上高=100000
100000÷500=200
販売数量=200
2)
0.4Sー40000=100000
0.4S=100000+40000
S=140000÷0.4
S=350000
35000÷500=700
3)
0.4S-40000=0.15S
0.4S-0.15S=40000
0.25S=40000÷0.25S
S=160000
160000÷500=320
4)
(150000ー100000)÷150000=33.33%
原価の固変分解
利益計画のために直接原価計算+CVP分析が必要。
そのためまず原価を変動費と固定費に分ける必要があり、これを個変分解と言う。
費目別精査法
一つひとつ分解していく。
高低点法
例) 月 | 原価 | 生産量
1月 2590 14個 低点
2月 2700 16個
3月 2975 20個
4月 3025 21個
5月 3160 24個
6月 3550 30個 高点
(3550ー2590) ÷ (30ー14) = 960 ÷ 16
これは、16個生産量が増えたら、原価が960増えたということ。
960÷16=60
変動しているの、これが1つあたりの変動費60。
高点の6月で、30*60=1800が変動費。
同じ6月の原価3550-1800=1750が固定費。